2016年9月4日日曜日

究極の一期一会




前回の『玉木新雌』展示会に引き続き、今回の『ウスカバード』と『そら植物園』の展示会も蔦屋書店三年坂店の地下で場所を借りてやらせてもらっている。蔦屋書店三年坂店というのは、それは熊本の街のど真ん中にあるところであって、ということはそれはまさしく一等地であって、人通りも多いし、実にありがたいお話だ。

でもこういう感じの催事場っぽい感じで一度でも販売をやったことがあるひとならば分かると思うんだけど、なんだかとても不思議な感じである。例え2週間とはいえ、というか2週間だからこそ、ほとんど商品のディスプレイ命みたいなところはあって、それはまぁ間違いなくそうなんだけど、でも言ってもこれは急遽現れた露店である。もうそれは究極の一期一会というか、通りすがりのアイオンチュウというか、ひとりっきり想いっきりマルシェというか、とにかく非常に押し引きが難しい状況だ。いくら置いてある商品が良くったって、店員がなにやら気に入らないヤツであれば一蹴される可能性ありありだし、僕だって客としてそういう経験はあるし、でももちろんその逆もあり得る。その逆の場合のために僕はここに居て、お望みとあらば、お望みでなくとも、商品の説明を行うというわけだ。でもできるだけ商品の邪魔にはなりたくないので、できるだけ自分オーラは消して挑んでいる。でも無理か。



そしてこういう販売を経験すると、いかに自分のお店を持つことがリスクあることか、というのを改めて思う。だってまず誰の店だってドアを開けなければならないし、ということはつまり、ひとんちに「すいませーん」と入り込まなければいけない。通りすがりの露店と、いらっしゃいませな自分の店と。そこの線引きというは、本当にデカいと思う。当たり前のことかもしれないけど、わざわざ自分のお金を払うためにひとんちに入る行為ってとても不思議である。たまに外食が心底嫌いで自分ちじゃないとご飯を食べない頑固お父さんお母さんがいたりするが、それもこう考えてみると当たり前のことかもしれない。だってほら、デパートの露店の試食と、店に入ってお金払って食べるのって、まったく違うものじゃないですか。そうしてふと、そりゃネット販売がある意味流行るはずよな、とも納得する。わざわざひとんちの門叩いてウザいかもしれぬサービス受けるよか、自分でポチリとあっさり買ったがどれだけいいか。自分は世代的にも性格的にもデタッチメントな人間では無いと思うのだけれど、でもこういう販売を経験してみると、逆に確かにそれも一理あると思わされるのが面白い。

そしてそしてどうやら最終的なところ、自分がそんなデタッチの道を選ばずに、なんにせよアタッチの方を選んでしまうのは、どうもそれがデタッチなんぞを蹴散らす“大いなる悦び”みたいなものに繋がっているからだろうな、とも思う。例えば日がな一日、朝の九時から夜の九時まで販売していて、その日一日暇でヒマでヒマで死にそうであっても、最後の最後にたったひとりだけでも「すんばらしい」と思えるお客様と出会えたらば、案外嬉しく生きていけるかもしれん・・・というようなこの良いか悪いか分からんアホな性格。その辺はこう見えても割合血が濃いというかアツくて、まぁだからこそこんなことをやっているのかもな、とも思うわけで。そうして結局、また懲りもせずに新しい店を見つけようとしているこの愚弄もの。そう。ぼちぼち新しい店探しも進んでいます。果たしてうまくいくのでしょうか? そういうわけで、来週日曜11日まで展示会は続きます。

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