2016年11月9日水曜日

白川沿いにて



憂鬱。メランコリック。

外は途端に北風びゅうびゅう吹き荒れ、奥さんは珍しく風邪なんぞをひくし、そしてこの満月ビルだって冷えも冷える。40肩のカラダに大学生の時に買ったMA-1のジャムパーが重くのしかかる。珍しく普段喰わないお菓子なんぞを胃にむやみに放り込んでしまう。だからキモチ悪い。どうも精神に穴があいているときは、妙に腹になにかを詰めたくなるようだ。

今日は気づけば朝からずっとアメリカ大統領選挙の中継動画を見ていた。正直、最初は軽い気持ちで冗談半分で見ていたのだけど、だんだん暗澹たる気持ちになって、でも目が離れなくって、気づけば腹になにかを入れながら見ていた。この現実から逃げるかのように途端に眠くなってきた。へたに客が来なくて良かった。こんなときにどんな接客ができるというんだろう。この現実との乖離。取り残され感。俺が考えているよか世界は真っ暗感。

もうほんとにまるで漫画みたいな世界だ。誰がどう控えめに見ても「正」にはみえない、欲にまみれたエロジャイアンみたいなヤツがアメリカの大統領になってしまうなんて。いや、それで良い方に回っていく面もあるんだろうけど、なんせその事実がキツい。笑えない。アメリカの親は子どもになんて説明するんだろう?・・・だって。ねぇねぇ、そんじょそこらの町内会長じゃないんだよ?あのでっかい国の長なんだよ?アジアのどっか小さな国の偉いひとじゃないのよ?昔っから外国=アメリカだった、あの国のいちばん偉いひとよ?あのかっくいいケネディさんがなったやつ、JFKよ? そんなポジションなのに、みんなあんなヤツに投票してしまうなんて。

・・・でも自分には分かっている。何が自分にとって一番ショックなのか。大統領がどうこうというよりも、あのイギリスのEU離脱のときもそう思ったけど、もうこの現実に絶対我慢ならないひとたちがたくさんたくさんこの世の中に居るということ。あまりに変わることないこの世界にもう我慢のリミットが切れてしまっているということ。そのことを自分自身がきちんと捉えきれてないことが一番キツいのだ。たぶん。世界は、そしてこの国だって、見えない苦しみでいっぱいいっぱいなのだ。そういう世の中で自分も、自分の子どもだって、これから生きていかなくっちゃいけない。

思わずそんなことを考えてしまうのは、決してそんな話が自分の店をやっていくこととそう無関係ではないのではないかと思うからだ。なんだか今の世の中って、それぞれ発信できるシステムを持っているのに、却ってそれぞれの気持ちや都合が分からなくなっている気がする。いつも考えはそこに足り着いてしまう。分かってどうすんのよ?っていう話もあるけれど、少なくともその現実を捉えて手を考えないと、本当の満足感は得られない気がするし、あまりに空虚だ。「世間は広いよねぇ。だからなんでも難しいよねぇ」で終わり。そういう話がどこまで商売というものに繋がるか分からないけど、自分なりに捉えておきたいな、といつも思う。そしてそこを自分なりに捉えることというのは、何より自分の子どもに伝えるためでもあるように思う。遠いように思えることでも、実はぜんぜん遠くない。他人のことのように思えて、それはまったく他人事ではない。我が身のこととして捉える、想像力のようなもの。この仕事をしながら、少しでもそのことを考えられたら。

にしても今日は疲れた。早く帰って寝よう。・・・きっとアメリカのひとたちも疲れただろうな。






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