2017年10月16日月曜日

ひとを惹き付けるなにか




どうやら、『子供の領分-children's coner-』も無事終わりそうだ。いや、というか、大成功であったというべきだろう。もはや初日、二日目だけでかなりの作品が動いていたし、他県からいらしてくれたり、二回足を運んでもらったり、嬉しいことにもはや作品もあまり残っていなかったりと、すこぶる人気であった。と書くと、なんか他人ごとのようですが。11月の『天草大陶磁器展』を控え、おふたりにはクソ忙しいのに店に来ていただいたり、木さんにあっては窓や壁(プラ版)に画を描いていただいたりと、本当に無理をさせてしまった。とても愉しかったけどね。

例えばトウキョウやら関西やらの都会の方のお店で、よく展示会で完売とか、あまりにひとが多くて整理券を配るとか、そういう話をよく聞いたりするのだけど、なんかそういうのヤだなぁとか、そんなことになってしまったらばたぶん俺は逆に店をやる気無くしてしまうだろうなぁとか最近ぼんやり考えているのだけど、いやいや、というかそもそもそんなアゲアゲの状態に自分の店がなるとは思っていないし、決してそれを望んでもいないけど、とはいえ、今回のこのふたりの作家にあってはお客様の反応を見ていると、いつそうなってもおかしくは無いと言うか、それくらいにふたりとも持っているモノがちょっと違うと言うか、こっちがちょっと悔しくなるくらいの眩しいなにかがこのふたりの作家たちには確かに在って、それが販売という身に我を置きながら、よおく分かった。特に今回はよおくそれが分かった。



ひとを惹き付けるなにか、惹き付けて止まないなにか、とはいったいなんなんだろう? 自分はそのことに以前から何気に興味があって、常々そのことを考えて来た。もちろん努力は土台に必ずやあるだろうし、それがないと続かないしなんにもありえはしないのだけど、ただどうも努力では越せないものが、ひとを惹き付けるなにかにはある気がしている。それは僕から言わせると、もうどうしようもない星回りのようなものであって、生まれ付きの要素がとても大きい気がする。で、なぜそんなことを言い切れるのかいえば、なんせ自分がそういうものを持っていないからだろうし、それは自分でも十二分に理解していて、だからこそ自分はある意味、表に出ない裏方である、伝え手、媒介という位置を選んだのだと思う。

例えば自分には高校から親友と呼べる友がひとりいるのだが、その彼がひとを惹き付けるなにかを持っている人間で、僕と彼は昔からポジとネガの関係だったような気がする。お互いに持っているものがあまりに違うため、とても分かりやすく比べやすい。少なくとも自分にとってはそれが大切なひとつの指針であったような、今でもあるような気がする。例えばサッカーチームをいっしょに組んでも自然にセンターフォワードの位置になったり、しかも大切なのがそれを周囲のひとが誰も異論は無いということで、例えば大勢で写真を撮るときでも必ずや一番の位置にいるひと。クラスの人気者。表舞台に出るべきひと。そういうひとって、いますよね。彼は僕がもやもやだらだら人生に悩んでいるときからすでにして自分の道を決め定め、飲食店を経営し、文字通り表舞台で人気者のカフェの店主としてずっとカウンターに長年立ち、最近では自らの意思でカフェからラーメン屋に転身を図った。きっとそれもうまくいくだろう。すでにしてラーメン屋の立ち振る舞いと光を身につけているくらいだから。



比べると自分はやはりどうしても裏方の人間であって、本当は表に立つべき人間じゃないような気がする。表に立つには感じが重いと言うか、軽やかさが足りないと言うか、まぁそれは文章を書く人間なんてそんなもんだよと開き直ってはいるのだけど、そしてそんな人間がやる店がひとつくらい世の中にあったっていいじゃんという開き直りでこの店だってそもそも始めているのだけど、とにかくまぁ自分ではそのことに十分に自覚的なつもりである。だからこそ、こんな長たらしい文章をここに書き付けているのだろうし。

そういう意味でいうと、特に今回の展示会なんて、そんな自分だからこそ形作れた展示会なのかもしれないし、そんな裏方なりの情熱を受け止めてくれた創り手の方あっての展示会であって、でも結局のところ、そうやって展示会を創り上げていくことこそ、売り手であり伝え手である僕の悦びでもあるし、もしそれが買い手であるお客様に届いて悦びに変わるのだとしたら、こんなに嬉しいことはない。だって僕はそのためにこんな店をやっているはずであるのだから。そして今回の展示会は特にその悦びがこちらにもビンビン伝わったというか、感度と密度の高い展示会だったように思う。こちらが込めた弾はとても重いものだったけれど、きちんとそれがどこかで受け入れられた感覚が強くある。そのことがとてもとても単純に嬉しい。気がつけばこの店も四周年を過ぎていた。もうすぐ、また次の展示会が始まる。








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