2013年6月22日土曜日

福岡飯塚市の『羅以音窯(らいおんがま)』

岡山県の後楽園の近く、出石町(いずしちょう)という場所に『アートスペース油亀』というギャラリーがあります。築130年の旧油屋を改装し、毎月それはそれは魅力的な展覧会を行っている所なのですが、以前、取材でそこに伺ったときにある器と出会いました。

全国から1000点ほど集められた、クラクラするくらい素晴らしい器たちのなかから(ちなみにそれはコーヒカップだけを集めた「コーヒーのための器展」でした)、限られた時間のなかで「これっ」と選び出すのはほんとに難しい作業。迷いだしたらそれこそきりがない。自分のセンスの思うがまま、どこの作家のものかも考えず、己の目ん玉と感性に飛びこんできたのが・・・福岡の『羅以音窯(らいおんがま)』のものでした。

九州は福岡の窯元と知り、ぜひ一度伺おうと思いながらたらたらと月日がたち、ようやく先日行くことができました。福岡インターで降りて、おっと、と思うくらいの山道を行き、ようやくたどり着いたのはネットもテレビも来てない、山の奥。そんな場所に『羅以音窯(らいおんがま)』はあります。








ご夫婦で作られている数々の作品は、いってみればエキゾチックな雰囲気を感じさせながらもどこか人懐っこい。“リズム”や“音”を感じさせるかのような不思議なその模様を見ていると、ふと人の根源的なルーツまで思ってしまうような、ちょっと魅惑的な器です。ご夫婦それぞれ違う技法で作られているそうですが、両方の作品が並んでいてもまったく不自然を感じさせない。まるで違う二つの曲からある共通の和音が聴こえてくるような、そんな感じなんです。


窯元に伺い、ご主人の江口誠基さんにお会いし、かれこれ3、4時間笑い合いながら感じたこと。それは「名は体を表す」、もとい、「作品は体を表す」。




屈託がない笑顔で冗談を交えながら自分や作品を語るその一方、どうにか作品に対する考えや想いをつい語ろうとすれば、今度はうまく言葉が見つからず。照れながらはにかむその様は、陶芸家というよりも、むしろミュージシャンを思わせるもの。ご自身もかなりの音楽好きということで、なるほど、このリズムや音を感じさせる作品はむべなるかな・・・という感じを勝手に受けたというわけです。



それにしてもなんにせよ、やっぱり作り手にお会いするのは楽しいことです。もうそれだけで、自分が持っているその器のストーリーができてしまう。買った器の作り手に会って話せば、もうそれはすでにただの「モノ」ではなく、「あの人が作ったモノ」になるわけで。

ということで、近々『羅以音窯(らいおんがま)』の器をお店で見ることができるようになると思います。パチパチパチー。








羅以音窯〈らいおんがま〉

福岡県飯塚市舎利蔵1666








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