でもこれだけは言っておきたいのだが、同じ展示会を繰り返しやっているからといって、それはお店や創り手が同じ場所にいるかといえば、それがそうではないのだ。優れた創り手は、優れた創り手であるからこそ、彼ら彼女らはつねに蠢いている。蠢きを止めたら彼らは創り手では無くなる。すくなくとも僕はそう思う。すくなくとも蠢いていない創り手はうちの店にはいない。
特にこの『玉木新雌』というブランドにおいてその蠢きは顕著だ。兵庫のファクトリーに伺うたんびに新たな蠢きに驚かされ、はっとする。特に今回はこの新作シャツ『ケスケス』に一目でロックオンした僕はすぐさま自ら試着して、すぐさま自分用に購入し、すぐさまその後ろに待ち並ぶ数人の喜ばしきお客さまの顔が浮かんでは仕入れ、そして実際に喜んでもらえては売れて、追加でまた注文した。といってうちの規模なのでたいした数ではないのだけれど、でもそれはたかが数の問題では決して無い。僕が創り手からなにかを受けてはそれが胸とこころを穿ち、それをお客様に僕なりのやり方で伝え、そしてそれが嬉しいことにきちんと伝わり、代金が支払われ作品がお客様の元に旅立つ。そしてきっと明日からまた新しい生活が始まる。・・・言って見ればそれが僕の仕事のすべて。でもそれはまったく簡単なことじゃない。見渡してもどうやらそれが本当の意味できちんとできているお店だって、そうそうは在るものじゃない。名の在るものをただただ売って喜んでも仕方ない。少なくともそれは自分の仕事ではないんだ。・・・といつも自分に言い聞かせる。
とまた果たして誰に向かって書いているのかよく分からぬ文になっているが、そしてもちろんこれは自分に向けて書かれているのだけど、それにしても今回のDMは素晴しい。カメラマンえとうくんの本領発揮である(ちなみに同日行われた『catejina』のルックもヤバかった)。撮影が展示会初日の数日前に行われたという、もはや完全にスケジュール失敗なダメな店の典型であるのだが、ダメな店はダメな店なりの意地と希望があり、僕らはそれに向かって今日も来年も突き進むのだろう。といってもダメな店の定義なんてものは誰それでそれぞれであるはずで、僕にとって本当の意味でダメな店と言うのはDMが遅い店なのでは無くって、なによりDMがダサい店に他ならない。ダサいと言うことは、つまりはそこに己の想いが籠ってないということ。それに尽きる。ロックバンドとDMは格好がすべて。DMはその店の顔であり、その街を映し出す景色のひとつだ。たぶんその考えはずっと変わらない。たかがDMごときにそうそうアツくなるなよ、おっさん。てなものだろうが、でもそれはやっぱりどうも違うようで、今回もこのDMが響いたうえでこの店に来ていただいた方がすでにいらして、それはそれは嬉しい。だって、それはすでにしてこちらの想いが伝わっていることに他ならないのだろうから。それは例えば音楽においてのジャケ買いのようなものなのではないか。
・・・つってもまぁこれまたなにがダサくてなにがダサく無いかなんてそれこそひとさまそれぞれであるからして、要は僕やきみがかっこいいと思うことを貫けばいいだけなのだ。きっと。ということで『玉木新雌』展示会はクリスマスの25日まで続きます。
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