先日、香川に出張に行ってきた。車、フェリーを使っての、片道7時間くらいの、しかも1歳半ばの子連れで、というなかなかのドライ&ヘヴィな旅。そもそも今回の旅の目的は香川でモロッコのラグを販売していらっしゃる『maroc』さんに行くこと。『maroc』さんは香川市内から少し離れた田んぼのど真ん中にあるだだっぴろい倉庫で、植物を扱われている友人とシェアしつつ店をやっている。カフェスペースなんかもあって、手作りで手がけた店の感じといい、かなりイカした若いセンスを感じさせる店だった。こういう店が熊本でもあるといいのになぁとひとごとのようにぼんやり思う。
モロッコにもいろいろラグはあるらしいのだけど、こちらはベルベル村で作られた「ボシャルウィット」というラグがメイン。例えば洋服を裂いて、いわばリメイクな感じで作ったコットンのラグは、いい具合のポップさがあって、ラグが部屋を選んでしまうかのような、よくある民族的すぎるアレが少ない。例えば北欧やらいろんなテイストに合わせやすそうである。ウールで編んだタイプとかいろいろ種類はあるのだが、比較的価格も手頃なので、これはかなりオススメのラグ。10月から取り扱いが決まったので、写真を見てドッキドキの方は絶対来てください。
まぁその辺はおいおいしつこいぐらいに語るとして、香川といえば「うどん県」。忙しくてなかなか行けなかったのだけど、まずはモーニングうどんを、ということで、通りすがりに見つけた古い感じの『大島うどん』というところに。入ってすぐに「セルフ茹で機」と、もうぐつんぐつんに煮込まれているおでんなんかがあったりして、これぞ香川という感じ。窯玉を頼んだのだけど、徹頭徹尾優しいうどんであって、ああこれは店に貼ってあった誰だかの色紙に「朝から二玉、大島うどん」と書いてあったのも妙に納得してしまう。毎日毎日こういうところでずるずるずるっとうどんを食べ、「・・・ほな、今日も働きましょか」という感じでずっと過ごしていくというのも、ひとつのジンセイではあるまいか、となぜか椎名誠風になってしまう。
・・・だったのだが、その後、『maroc』の方に「せっかく来たんだったら、ぜひ美味しいうどんを食べて帰ってください」と自分のおすすめのうどん屋さんを教わる。『竜雲』という、なぜかお寺のなかにある店である。坦々うどんとかなぜか中華麺とか飛び道具系なメニューが多いのだが(もちろん普通のもあるけれど)、これがむちゃくちゃ美味しい。
比べると『大島うどん』は家庭的で牧歌的な感じであって、もちろんそれはそれで美味しいのだけれど、『竜雲』の方は観光客も地元のニンゲンも黙らせてしまうくらいの意気込みと熱量を感じる店、というか。たぶん日々新しいメニューやうどんの打ち方なんかを研究しているんじゃないだろうか。や、もしそうでなくとも、そう思わせる何かがある店だ。ただうどんとひとくちに言っても店によって微妙に、でもしっかりと味というか喉越しというか、何かが違うのにやっぱり驚いてしまう。いや、それよりなにより奥さんと頷き合ったのは、香川のその醤油の美味しさ。すっきりさっぱりとしてて、人懐っこいようなよそ行きのような、でも最後はちゃあんと仲良くくっついてくる懐の深さを持った醤油であるとみた。お土産やさんにふらりと行ってみると、香川産の数々の蔵で作られたいろんな醤油があったので、醤油の基本レベルが高い場所のようである。そう、「うどん県」は「醤油県」でもあったのだ。そう勝手に納得して、帰ってきたわけであります。
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ところで。今回は子連れの旅でなかなかハードだった。でもまぁうちの息子はなかなか旅慣れているし、すぐに知らない人に懐くので、別に苦労はしない。今回も香川の商店街で僕の抱っこから降りるや否や、すぐさまベンチに座っていた見ず知らずの(ちょいとアヤシげな)おばちゃんのところへ行き猛烈な「抱っこアピール」。「うわぁ、かわいいねぇ」と言われつつ、なんとミルクコーヒーをゲットする始末。このまま食いっ逸れがないニンゲンに育ってほしい。
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