ああ、暇で忙しい。忙しいけど暇だ。
これから年末まで怒濤の展示会ラッシュになると思われるけども、そのことになかば目をつむりながら、そしてもはや2020年の展示会の話などをなぜかどうして進めたりしているのだけども、来年、再来年持つかどうか分からないこの店なのに、先に決めておかなければならないことというのは確かに不思議とこの世にあったりするのだ・・・とか言ってると強烈な地震がまたまたあったりして、なかなかどうしてこれから先が見える感じがしない。
これから先が・・・という話でいくと、最近どうも気の合うひとと話すことのひとつに「お気に入りの店が無くなってしまう話」というのがある。なぜだか自分がすごく気に入っていた店がすべからくどこそこ無くなっていくよね、という話。なんかね、気が合えば合うひとほど、よくそんな話になる気がするんだな。まぁとどのつまりは気が合うから、好きなお店のラインも似ていて、お互いにへんな店、妙に偏った店、だからこそ個人的に愛すべき店のラインが似ているということもあるのだろうけど。だからこんな話を聞いて「そうかなぁ。まったくそんなこと思わないけど」というひととか、こういう話にピンと来ないひとは、たぶんこの文章を読むのを止めてもらったがいいし、「もしかしてそれって・・・」とか、ふと思う人はたぶん僕と(ということはうちの店と)気が合うひとだと思う。
・・・いや、そんな話を書きたいわけじゃなかった。なんだかこのご時世、もしかするとそもそものお店の賞味期限というかそのターム自体が変わったのかもしれないと思ったのだった。例えばもう少し昔ならば、あるお店を立ち上げて最低10年は続ける、やっていく、心づもりがもしかしたら当たり前にあったかもしれないが、その10年の感覚がいまだったら実際は例えば5年くらいなのかもしれないと思ったり。たったいまお店を立ち上げたひとが10年という時間を果たしてしっかりと見据えているだろうか。少なくとも自分には見えてなかった気がする。10年先なんて。もちろん昔だってみんな不安で不安で10年なんて見えてなかったかもしれないけれど、たったいまのこの明日をも知れぬ空気というか、1年、2年であっぷあっぷ(ってそれはうちだけかもしれないけどさ)という感覚とは違う面があったんじゃないのかなぁと。昔の時代を体現してもないくせに言うのはおかしいけれど、でも明らかに自分が小さかった頃、若かった頃の、街の感覚とか店の在り方とか時代の空気といまは違っている気がする。もちろん景気なんてのも関係あるのだろう。昔は良かったとか楽だったとかまったく思わないし(そんなこと言ったら親父に殺されます)、それぞれの時代で生きていく厳しさはたしかにあって同じだろうけど、すべてにおいて新陳代謝が速く、それ相応の対応が求められるのは確か。そしてそのそれぞれの対応がお店の賞味期限を延ばしていく・・・のだろうか。だって単純にたったいま新しい店ができたとしても、それが例えどんな店であったとしたって普通に10年続くイメージがなかなか描けないし、実際にそう多くはないんじゃなかろうか。とにかく以前とは10年という時間は変わらねども、その価値観自体が変わったんじゃないか、と。
いまは本当にチェーンの店が多いけども、ああいうお店も、いやああいうお店だからこそだろうけど、10年そこに在るということがほぼない。熊本は地震があったせいもあるだろうが、あるチェーンの店が気がつけばまた別のチェーンになってしまって、甘酸っぱいこちとらの想い出なんざ無惨にも残らなくなっていることもほんとに多い。若かったあの日によくあの子と通った喫茶店だとか、そもそもそんな店が在ったり残っていること自体が奇跡に近い。だいたい老舗自体、悲しいことに無くなってしまうことも多かったりして。そういう感覚で行くと、たまに車に乗っててそういえばかなり長く続いている店なんかにふと気がついたりすると不思議になっちゃって「へー、あの店まだやってるんだ。すごいよなー」とか思ったりする。なんというか、感覚が逆なのだ。続いているのが珍しいというか。もしかしたら携帯の機種変とか、家電の買い替えとか、スピード離婚とか不倫とか(これは明らかに違うな)なんだかんだのスピードとともにいろんな感覚が変わってきたのかもしれない。だから、ほら、そういう話でいくと数年前から流行りのポップアップショップっていう概念だって、まさしくいまの時代っぽい。続かないことを前提としたお店、なんて。
まぁだからって、それがなんとなくそう思うからって、自分は愛も変わらずのほほんとずんだらやっているし、それを肌身で気づいて分かっている若い子たちは「へん。こやつ、あいかわらずなんだか分かり切った、かったりーこと言ってんなー」と日々日々自分なりにサヴァイヴしているのは知っている。そしてどうやらそんなずんだらな自分の店ももうすぐ4年になるらしい。・・・やっぱり、なかなかどうしてこれから先が見える感じがしない。
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