みなさんは『ヤブクグリ』をご存知ですか? これは画家の牧野伊三夫さんたちがはじめた、大分・日田の林業の復興を掲げたプロジェクトです。や、プロジェクトというのは全く違うな。日田の林業をおもんばかる会、集まり、いや、ゆるやかな集いというのか。あるとき、牧野さんやその同志たちが東京や福岡からそぞろとなぜか日田に集まり出し、これまた自然突発発作的に木々に対する想いが地元のひとたちに飛び火、そしてまた飛び火。ひとびとが、山が、風が動き出し、ついには牛蒡を丸太にみたて、日田杉でできたミニチュアのこぎりで切って食べるなんていう、早くも名物の声高い『日田きこりめし』を生み出し(これがグッドデザイン賞を受賞)、いまだ楽しく進化し続ける会なんです。そんな活動をまとめた冊子ふたつがこれ、なんですね。冊子はすべて袋とじになっていて(一冊300円)、なんと専用のオリジナルペーパーナイフで(ヤブクグリのロゴ入り、1500円)切ってくださいという用意周到な茶目っ気ぶり。たぶん勘のいい人ならば、この冊子をちらりとでも見れば、大いなる奇跡ともいえるこの地方活性活動のなかに、誰もが参加したくなるような“素晴らしく自然で愉快な風”を読み取れるのではないかと思うのです。左様、「こころから楽しいことからしか、こころからひとを動かす風は吹かない」。僕はそのことをこの『ヤブクグリ』から、少しでもみなさんに知ってほしいのです。
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